2012年のデトロイト・モーターショーで新しいフィアット車として紹介されたのは電気自動車のEVフィアット500e(チンクエチェント・イー)。これは、フィアット・クライスラーグループが最初に世に送り出した電気自動車だ。
ただし、フィアットのCEOセルジオ・マルキオンネは、このEVプロジェクトにはあまり熱心ではないというのは有名な話。
新車購入者をゼロエミッション車に仕向けるカリフォルニアの不条理(?)な法律ゆえに、生産された事実上フィアット500最初のEVモデル。世界は徐々にピュアEVとハイブリッド車に向かい始めている。
約100馬力を提供する全電気式フィアット500。これは、電気自動車セグメントの多くの競合他社よりも少し低く、最も人気のあるピュアEVは120馬力の日産リーフと143フォードフォーカスエレクトリック。もちろんフィアット500は小型車なので、そのコンパクトボディを考えると500eは充分ともいえるスペック。加えて、先述の2社に比べるとアメリカ国内でもわり安価な部類にはなるようだ。
しかしこの低価格は、電気駆動技術の高コストからすれば、フィアット・クライスラーグループにとっては純粋なエレクトリック車は金が掛かり過ぎる。このために、セルジオ・マルキオンネは、純粋な電気自動車の製造には無関心であると表明している。厳密にビジネスの観点から、EVチンクエチェントを正当化するのに充分な収益を得るためには、潜在的な見込み客が離れていってしまうほどの高価格は設定できない。フォードと日産のEVよりも下回る値段で開発・製造コストを賄うのはまず難しいだろうというのが現状。
フィアット500のエレクトリックカーは、当時のコンセプトであったフィアット500のハイパフォーマンスモデルの『ABARTH アバルト』と並んで、2010年にデトロイトで開催された北米国際自動車ショーで初めて米国で展示された。その後、アバルト500の生産は現実のものとなる(恐ろしいまでに素晴らしいものとなった)。そして、EVフィアット500も北米市場でお披露目されることになるが、その結果はいかに。